朝礼やアイスブレイクのネタがない…を解決!フリートークの話し方〜内容作りとメンタルトレーニング〜
「もうすぐ会社の朝礼がまわってくる…話すことがない…」「会議の前にアイスブレイクとしてちょっとしゃべってと言われたけれど、何を話せば…」そんなご相談をよく受けます。朝礼や雑談は「フリートーク」の一種。フリートークの概要がわかれば、結婚式のスピーチや、仕事での乾杯の挨拶も怖くありません。
今回は、朝礼や雑談に役立つ内容作りについてお伝えします。
※今回取り上げる朝礼は、テーマ指定がないフリートークのケース。工事現場等でのルール確認や、業務の連絡事項を伝えるタイプの朝礼は、フリートークではなく「説明」のケースになります。それはまたの機会に。
※アイスブレイクとは、氷を解かすように、場の雰囲気を和ませる雑談やゲームのこと。今回は一方的に話す雑談について取り上げます。
■6つの要素:内容■
以前、トークには6つの要素があるとお伝えしましたが、今回のコラム前半は<1>内容の話です。話すことがないと何も話せませんので、まずは「何を話すか」をクリアにしていきましょう。
■何を話すか■
朝礼や雑談(ある程度一方的に話すタイプの)で話すことは、何が正解だと思いますか。答えは、「自分」の「エピソード」です。
もちろん、情報を話すパターンや、時事問題に切り込むパターンもありますが、こちらのほうが難しいもの。情報の羅列は聴衆を退屈にさせますし、時事問題であればその話題に詳しい必要があります(時事問題から自分のエピソードに繋げるパターンもあります。それはまたの機会に)。
エピソードトークはフリートークの基本中の基本です。
■エピソードトークとは■
エピソードトークとは、自分がこれまでに経験した出来事を話すこと。ちょっとしたハプニングや失敗談があれば、それが“オチ”になります。
たとえば「どこかに行った時のこと」「自分がやったこと」「見たこと」「感じたこと」「ちょっとしたハプニング」「ちょっとした失敗談」など。
具体的であっても、経験していないことを話すのはエピソードトークではありません。
たとえば「まだやっていないこと」「これからやろうと思っていること」「今後の目標や抱負」など。経験していないことは、話してはいけないわけではありませんが、内容のメインに持ってくるには“弱い”話です。
■スピーチの理想■
以前も記載しましたが、私が考えるスピーチの理想はこちら。
①内容がわかりやすく、聴衆が楽しめる
②話し方と声が自然体で、聴衆に話しかけている
③全体的に自分の良いところが出ている(別人を演じていない)
①の「わかりやすい」と「聞き手を楽しませる」を達成するためには、エピソードトークが一番。まだやっていないことを延々と話して、聞き手を楽しませるのはかなり高度な技術がいります。
以下、「まだやっていないこと」の例です。
・私の娘は今1歳
・2歳になったら旅行に行きたい
・3歳になったら習い事をさせたい
・習い事はダンスにしようかピアノにしようか迷っている
こんな話で人を楽しませるのは非常に難易度が高いです。
■エピソードトークの例■
続いて、エピソードトークの例です。
・娘とアンパンマンミュージアムに行った
・娘はバイキンマンが大好き
・ショーでバイキンマンが倒されるシーンがあったら困る…
・バイキンマンが楽しそうに踊るショーで娘大満足
月一回、YouTubeライブでフリートークをしているので、ご興味ありましたらのぞいてみてください。
参考リンク:五戸美樹のガールズトーク
「五戸美樹のスピーチトレーニングサロン」のメンバーが出演しているWEBラジオでは、皆さんフリートークにチャレンジしてくれています。
たとえば、
・インフルエンザに罹患。身体が熱いのを温かいインナーによるものと勘違いしていた話
・旅先の湖でカヤックに挑戦。結婚して約30年のパートナーとまったく息が合わない話
・猫カフェにハマる。“推し猫”を投票の一位に据えようと熱心に通った話。
などなど。
参考リンク:サロンメンバーでラジオにチャレンジ2023-2024!第二回『スミノとたけひのサロンラジオ』
■エピソードトークが難しいケース■
私はラジオ局に勤めていたため、エピソードの重要性を認識していますが、仕事でフリートークをすることがないアナウンサーや声優さん、また一般の生徒さんにとっては、エピソードトークがいかに難しいことか、トーク講師をするようになってから知りました。
エピソードトークが難しい方には、メンタル面で強いブレーキがかかっていることが少なくありません。
ブレーキになる考え方は、たとえば「私の話なんて誰も興味がないはずだ」「私の話でみんなの時間を奪うのは申し訳ない」「早く終わらせなければ迷惑がかかる」「同じ毎日の繰り返しで、面白い話なんてない」「私の話は絶対につまらない」「オチがない」など。
これらのメンタル面が解決されなければ、エピソードトークの内容作りに進むことができません。ひとつひとつクリアにすべく、ここからはメンタルの話に入ります。
■メンタル問題:誰も興味ない…■
「私の話なんて誰も興味がないはずだ」
このお悩みは、思い込みです。誰も興味がないと思っているのは自分だけ、ということはよくあります。
朝礼で、職場の同僚20〜30人に話す場合、その30人は全員、自分の話に興味がないでしょうか。数人は興味がない人もいるかもしれません。でもそれは全員ではないでしょう。
自分が同僚の朝礼を聞く時はどうですか。同僚のプライベートを知ることができたら、親近感が湧くと思います。そもそもなぜ朝礼の時間が設けられているのか考えると、普段は仕事の話しかしないために、人柄も共有したいという管理職の狙いもありそうです。
■メンタル問題:みんなの時間を奪ってる…■
「私の話でみんなの時間を奪うのは申し訳ない」
「早く終わらせなければ迷惑がかかる」
長々話さなければ、絶対に大丈夫だと思ってください。朝礼の時間が5分程度とされている場合に、10分も20分も話したら、それは迷惑がかかると考えられますが、5分程度耳を傾けてもらうのは、聞き手の仕事でもあります。
聞き手として「長いな…」と感じる時のパターンは、内容が情報の羅列になっている時や、エピソードトークというより自慢話になっている時です。
「申し訳ない」と思う方で、自慢話をする方はほとんどいませんが、情報の羅列に走ってしまう方は少なくありません。自分の話で人の時間を奪わないように、役に立つ話で時間を埋めようとする傾向があります。
本当に役に立つ話なら、それも悪くはありませんが、情報トークよりも、エピソードトークのほうが面白く、聞き手の体感的に短く感じることは多いので、「自分の話をしたほうがむしろ迷惑がかからない」と考えていただきたいと思います。
■メンタル問題:話が面白くない…■
「同じ毎日の繰り返しで、面白い話なんてない」
「私の話は絶対につまらない」
これも思い込みですね。当人は面白いと思っていないだけで、他人には面白いと感じる出来事はたくさんあります。
まったく同じ毎日なんてありません。大雨の中出勤することもあれば、在宅勤務中にマンション全体が断水することもあるでしょう。趣味のゲームや漫画、アプリや買い物で起こるハプニングもいいネタになります。
構成の問題で、つまらない話になってしまうことはあります。たとえば、専門性が高く意味がわからない話。ITの専門家相手ではないのに、システムのバグを解消した出来事を専門用語満載で話したら、聞き手は「わからない」ので、「つまらない」となります。
出来事の羅列になってしまう構成もNGです。たとえば旅行の話で、「草津に行った。草津で湯もみをした。温泉に入った。ご飯を食べた。楽しかった。以上。」これはエピソードトークではなく、旅先の説明です。
エピソードトークは、ひとつの出来事を詳しく話すのが基本。草津旅行であれば、「草津で初めて湯もみをした。一緒に体験したのが子供たちばかりで、大人は自分ひとり。恥ずかしかった。でもやって良かった。」このような構成にしたいものです。
■メンタル問題:オチがない…■
「オチがない」
これには「フリートークはオチがなければならない」という思い込みが隠れています。オチはなくてもOK。出来事を話し終えたら「以上です」でおしまいにすれば問題ありません。
お笑い芸人さんや落語家さんはプロなので、オチをつけるために奔走されますが、それでも簡単にはいかないのがオチ。プロですら難しいので、一般の方がオチをつけようとする必要はありません。
失敗談やハプニングを話す場合は、それがオチになるので、構成の最後に持ってくるとよいでしょう。
構成の順序を変えれば、オチができることもあります。これはまた次回以降に。
「キレイに終わらせようとしないこと」も内容作りのポイントです。
出来事を話し終えているのに、今後のことや仕事にどう生かすかなど、ダラダラと話を付け足してしまう方は、「オチがなければならない」と思っていることが多々あります。キレイに終わらせようとせず「話したいことが話し終わったらおしまい」が基本です。
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■マンツーマンレッスンで解決!■
それでも「話すことがない!」という方は、遠慮なくご相談ください。マンツーマンレッスンなら1時間もあれば、私から簡単なインタビューをすることで、話す内容をまとめることができます。
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