プレゼン原稿の作り方〜一言一句用意しても自然な話し方になるコツ〜

column 2024.4.26

 
私の開催している「スピーチトレーニング」は、朗読教室ではないので、朗読の練習をすることはあまりありません(朗読をする時もありますが、ただ読むのではなく、朗読テクニックのどこをどう発表に生かすのか、という話をセットでしています)。
 
プレゼンもスピーチも、朗読になってしまうと、それはまるで「ひとりごと」。しっかり相手に「話しかける」話し方をすることが大事です。
  
しかし、「原稿がないとつらい」という方もたくさんいらっしゃいます。私もそうでした。一言一句書いていないと、言葉が飛んでしまい、しゃべりを続けられなくなり、パニックになって涙が流れてくる、という経験があります…一度や二度ではなく、何度も…。
 
そんな、原稿がないとつらい方におすすめしているのが、「話し言葉変換」。前回は「話し言葉とはなにか」をお伝えしましたが、今回は、「話し言葉変換」の具体的な方法として、すぐにできる3つのテクニックをご紹介します。
 
 

■話し言葉変換その1:「~はですね、~なんですけれども」■
 
ひとつめは「~はですね、~なんですけれども」です。
 
話し言葉にはさまざまな特徴がありますが、そのひとつが
・「ね」のような文中の終助詞(間投助詞)が入ること
です。
この特徴をあえて表現するために、主語の次に「ですね」を入れます。
 
また、話し言葉の特徴として
・撥音化(語や文の一部が「ん」に置き換わる現象)
・文を構成する要素間の整合性の欠如
もあるため、文末の「です」や「ます」を「なんですけれども」に変えます。
 
 

例①書き言葉→話し言葉
「今日は新商品をご紹介します」
→「今日はですね、新商品のご紹介なんですけれども」

 
例②書き言葉→話し言葉
「現在の市場には、〇〇の課題があります」
→「現在の市場はですね、〇〇の課題があるんですけれども」

 
例③書き言葉→話し言葉
「顧客のニーズにお応えするために、新しいアプローチが必要です」
→「顧客のニーズにお応えするためにですね、新しいアプローチが必要なんですけれども」

 
 
 
なお、「話し言葉変換」は、「これだけが正解」という変換方法はなく、上記の例も以下のように変えることも可能です。使用頻度や展開に合わせて言葉を選ぶことになります。
 
「今日なんですけれども、新商品をご紹介しますね」
「現在の市場としてはですね、〇〇の課題がありまして」
「顧客のニーズにお応えする、これを考えますと、新しいアプローチが必要ということで」

 
 

■話し言葉変換その2:語尾に「ね」をつける■
 
ふたつ目のテクニックは、語尾に「ね」をつけることです。
上記「その1」では、文中に「ですね」を入れましたが、語尾にも「ね」を入れることができます。
 
また、「その1」は文末を「なんですけれども」にしましたが、すべてを「けれども」にしてしまうと、話し言葉とはいえ、文の切れ目がなくなり、聞きづらくなります。ただ、「です」「ます」「でした」「ました」で終わる文が多いと、書き言葉に聞こえやすくなるため、語尾に「ね」を使うのです。
 
例④
「新製品は、コンパクトで軽量なデザインが特徴です」
→「新製品は、コンパクトで軽量なデザインが特徴なんですね」

 
 

■話し言葉変換その3:「しかし」「また」「や」は使わない■
 
プレゼン原稿に頻出する「しかし」「また」「や」は、話し言葉で使うことはないと言っていいでしょう。これらを読み上げると、いかにも原稿を朗読しているように聞こえてしまうため、それぞれに対応する話し言葉に変換します。
 
「しかし」→「なんですけれども」
「また」→「それから」
「や」→「~ですとか」
このように変えると、話し言葉に変換した原稿になります。
 
 

 
 
■話し言葉変換・応用編■
 
その1~3は、話し言葉変換のはじめの一歩としておすすめ。これらを踏まえて応用すると、長文も対応できます。参考までに、上記の例より少し長い文章を載せておきます。
 
  
例⑤書き言葉の原稿→話し言葉の原稿
本日は、製造業におけるDXテクノロジーの変遷と、これからのデジタル社会で企業はどのように対応すべきか、弊社の見解をお話します。弊社は長年の経験から、デジタル化のプロセスや費用対効果、導入後のトレーニングやサポートなどを熟知しており、こうした知見は単なるAIソフトウェアベンダーにはないものと自負しております。
 

  
今日はですね、製造業でのDXテクノロジーの変遷、それから、これからのデジタル社会で企業はどのように対応すべきか、についてなんですけれども、弊社の見解をお話します。
弊社は長年の経験からですね、デジタル化のプロセスですとか、費用対効果、それから導入後のトレーニング、サポート、といったことを熟知しておりまして、この知見というのはですね、単なるAIソフトウェアベンダーにはないもの、というふうに自負をしております。

 
 

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■次回は読み方のコツ■
 
話し言葉を文字化すると、カジュアルに見えるかもしれませんが、音声になれば、決してカジュアルには聞こえません。

一方、スライドは見せるためのものなので、話し言葉は入れません。話し言葉変換をした原稿を一言一句スライドに載せるのはNGですよ。スライドは簡潔に、原稿はスライドと別に用意するか、パワーポイントのノート機能を使いましょう。

次回は、話し言葉変換した原稿の読み方についてご紹介します。

 
 
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