プレゼン原稿の作り方〜一言一句用意しても自然な話し方になるコツ〜
私の開催している「スピーチトレーニング」は、朗読教室ではないので、朗読の練習をすることはあまりありません。
朗読をする時もありますが、ただ読むのではなく、朗読テクニックのどこをどう発表に生かすのか、という話をセットでしています。
プレゼンもスピーチも、朗読になってしまうと、それはまるで「ひとりごと」。
しっかり相手に「話しかける」話し方をすることが大事です。
しかし、「原稿がないとつらい」という方もたくさんいらっしゃいます。
私もそうでした。
一言一句書いていないと、言葉が飛んでしまい、しゃべりを続けられなくなり、パニックになって涙が流れてくる、という経験があります…。
一度や二度ではなく、何度も…。
そんな、原稿がないとつらい方におすすめしているのが、「話し言葉変換」。前回は「話し言葉とはなにか」をお伝えしましたが、今回は、「話し言葉変換」の具体的な方法として、すぐにできる3つのテクニックをご紹介します。
話し言葉変換その1:「~はですね、~なんですけれども」
ひとつめは「~はですね、~なんですけれども」です。
話し言葉にはさまざまな特徴がありますが、そのひとつが
・「ね」のような文中の終助詞(間投助詞)が入ること
です。
この特徴をあえて表現するために、主語の次に「ですね」を入れます。
また、話し言葉の特徴として
・撥音化(語や文の一部が「ん」に置き換わる現象)
・文を構成する要素間の整合性の欠如
もあるため、文末の「です」や「ます」を「なんですけれども」に変えます。
例①書き言葉→話し言葉
「今日は新商品をご紹介します」
→「今日はですね、新商品のご紹介なんですけれども」
例②書き言葉→話し言葉
「現在の市場には、〇〇の課題があります」
→「現在の市場はですね、〇〇の課題があるんですけれども」
例③書き言葉→話し言葉
「顧客のニーズにお応えするために、新しいアプローチが必要です」
→「顧客のニーズにお応えするためにですね、新しいアプローチが必要なんですけれども」
なお、「話し言葉変換」は、「これだけが正解」という変換方法はなく、上記の例も以下のように変えることも可能です。
使用頻度や展開に合わせて言葉を選ぶことになります。
「今日なんですけれども、新商品をご紹介しますね」
「現在の市場としてはですね、〇〇の課題がありまして」
「顧客のニーズにお応えする、これを考えますと、新しいアプローチが必要ということで」
話し言葉変換その2:語尾に「ね」をつける
ふたつ目のテクニックは、語尾に「ね」をつけることです。
上記「その1」では、文中に「ですね」を入れましたが、語尾にも「ね」を入れることができます。
また、「その1」は文末を「なんですけれども」にしましたが、すべてを「けれども」にしてしまうと、話し言葉とはいえ、文の切れ目がなくなり、聞きづらくなります。
ただ、「です」「ます」「でした」「ました」で終わる文が多いと、書き言葉に聞こえやすくなるため、語尾に「ね」を使うのです。
例④
「新製品は、コンパクトで軽量なデザインが特徴です」
→「新製品は、コンパクトで軽量なデザインが特徴なんですね」
話し言葉変換その3:「しかし」「また」「や」は使わない
プレゼン原稿に頻出する「しかし」「また」「や」は、話し言葉で使うことはないと言っていいでしょう。
これらを読み上げると、いかにも原稿を朗読しているように聞こえてしまうため、それぞれに対応する話し言葉に変換します。
「しかし」→「なんですけれども」
「また」→「それから」
「や」→「~ですとか」
このように変えると、話し言葉に変換した原稿になります。
話し言葉変換・応用編
その1~3は、話し言葉変換のはじめの一歩としておすすめ。
これらを踏まえて応用すると、長文も対応できます。
参考までに、上記の例より少し長い文章を載せておきます。
例⑤書き言葉の原稿→話し言葉の原稿
本日は、製造業におけるDXテクノロジーの変遷と、これからのデジタル社会で企業はどのように対応すべきか、弊社の見解をお話します。弊社は長年の経験から、デジタル化のプロセスや費用対効果、導入後のトレーニングやサポートなどを熟知しており、こうした知見は単なるAIソフトウェアベンダーにはないものと自負しております。
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今日はですね、製造業でのDXテクノロジーの変遷、それから、これからのデジタル社会で企業はどのように対応すべきか、についてなんですけれども、弊社の見解をお話します。
弊社は長年の経験からですね、デジタル化のプロセスですとか、費用対効果、それから導入後のトレーニング、サポート、といったことを熟知しておりまして、この知見というのはですね、単なるAIソフトウェアベンダーにはないもの、というふうに自負をしております。
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読み方のコツも
話し言葉を文字化すると、カジュアルに見えるかもしれませんが、音声になれば、決してカジュアルには聞こえません。
一方、スライドは見せるためのものなので、話し言葉は入れません。
話し言葉変換をした原稿を一言一句スライドに載せるのはNGですよ。
スライドは簡潔に、原稿はスライドと別に用意するか、パワーポイントのノート機能を使いましょう。
別途、いずれ話し言葉変換した原稿の読み方についてもご紹介したいと思います。
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