「今年のにほんごコンテスト2023」結果発表

activitie 2023.3.17

「今年のにほんごコンテスト2023」結果が先週発表されました!

「今年のにほんごコンテスト」は加賀市の山代温泉(やましろおんせん)が主催するでイベントで、私は審査員を務めております(審査はリモート参加でした)。
山代温泉にある「薬王院温泉寺」は、平安時代後期に五十音図が創られたお寺といわれ、山代温泉は「あいうえおの郷」として町おこしを行なっています!

今年は”お段の言葉”を募集し、全国からたくさんのエピソードとともに言葉が集まりました。
結果は北國新聞や北陸中日新聞で発表されましたが、こちらにも掲載しますね。

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一般の部
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■一席
おんぶにだっこ
■二席
心延え
ようこそ
恩繋ぎ
■三席
言祝ぐ
慮る
お前百までわしゃ九十九まで共に白髪のはえるまで
とっとき
希う(こいねがう)

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中学生以下の部
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■一席
冬夏青々
■二席
おもてなし
光陰流水
温泉
■三席
永久(とこしえ)
おおきに
おとろしい
ご馳走様
をかし

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一般の部・一席のエピソード
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見事一席を受賞した方はなんと三つ子のママ!
おんぶと抱っこで二人の子を寝かしつけようとするけれども、もう一人は持てないので、夫の仕事中は母親に手伝いに来てもらっている、いまだに母に「おんぶにだっこ」というエピソードをいただきました。

「おんぶに抱っこ」は他人の好意に甘えて、迷惑をも顧みずに頼り切ること(日本国語大辞典)。
ネガティヴな意味で使う言葉ではありますが、ご自身のエピソードによってほっこりさせてくれました。

自分は娘ひとりでひいひい言っているのに、三つ子ちゃんのお世話なんてどれだけ大変だろうかと想像してしまいますね…でも、三人とも元気に生まれてきてくれたようで何よりですね。そしてもしママとお話することができたら、お母様だけでなく、ファミリーサポートや家事代行など頼れるものなんでも頼って自分を追い込まないでくださいとお伝えしたいです…!

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残したい言葉・言祝ぐ
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今年は一般三席に選ばれた「言祝ぐ」を紹介したいと思います。

「寿ぐ」とも書き、上代は「ことほく」でした。「言(こと)祝(ほ)く」で、意味は「ことばで祝福する」「よろこびを言う」。

古くは古事記に用例があり、現代でも「新年を言祝ぐ」「古希を言祝ぐ」と使われます。

「言祝ぐ」は、言葉に現実をあやつる力があると信じられていた日本古代の言霊思想を反映した語とみられています。そのため、すべての慶事で使われるのではなく、日本古来の伝統に合致した祝い事に用いられることが多いのが特徴です。たとえば新年や長寿、婚礼の祝辞では用いられますが、受験合格や卒業、選挙の当選祝いには使われない語です。

ちなみに「寿(ことぶき)」は、動詞「ことほく」の連用形「ことほき」が変化した語と考えられています。

おめでたい時に「寿」と書くのは、古くからの日本の言霊思想と繋がっているんですね。

参考:日本国語大辞典、全文全訳古語辞典
写真:堀井住職と関係者の皆さん
今年のにほんごコンテストHP:http://yamashiro-spa.or.jp/kotoba/