「今年のにほんご あいうえお大賞2025」結果発表

石川県加賀市の山代温泉(やましろおんせん)観光協会が主催するイベント。
あっという間に今年で8回目です。
ご縁あって今回も選考委員を務めております。
山代温泉にある「薬王院温泉寺」は、平安時代後期に五十音図が創られたお寺といわれ、山代温泉は「あいうえおの郷」として町おこしを行なっています。
今年は”い段の言葉”を募集し、全国からたくさんのエピソードとともに言葉が集まりました。
結果はHPで発表されましたが、こちらにも掲載します!
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一般の部
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■一席
ちとせ
■二席
いじくらしい
ひこばゆる
■三席
じのもん(じわもん)
いいがいね
いくひさしく
ちよにやちよに
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小・中学生の部
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■一席
いただきます
■二席
いろは
一陽来復
■三席
飲水思源
いだい
希望の光
気づき
いのち
小中学生からは難しい言葉もたくさん届きました!
エピソードも楽しく読ませていただきました。
もっともっとたくさん掲載したい言葉をいただいているのですが!
今年も選考はとても難しかったです…!
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一般の部・一席は「ちとせ」
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都内の方から「祖母の傘寿のお祝いをしたとき、命のつながりを実感した」というエピソードとともにお寄せいただき、私もとても温かい気持ちになりました。
一席受賞おめでとうございます!
さて、「ちとせ」はなんと万葉集にも出てくるとても歴史の長い言葉です。
「あしひきの山の木末(こぬれ)のほよ取りてかざしつらくは知等世(チトセ)寿(ほ)くとそ」(大伴家持)
『万葉集』巻一八・四一三六
意味は
山の梢(こずえ)の寄生木(ヤドリギ)をとって髪に挿すのは、千年の寿を祈ってのことよ。
ヤドリギは生命力の強い木で、その青葉を髪にさすと、その力がもらえるという考えが当時あったようで、ヤドリギを髪にさして長寿を願う、おめでたい席での歌です。
「ちとせ」は当時から、千年が転じて、長い年月を表す言葉だったんですね。
ちなみに「とし」も万葉集にある言葉で、助数詞として用いられる時は「とせ」と音変化するもの。
一歳は「ひととせ」、 二歳は「ふたとせ」。
今ではあまり聞かれなくなりましたが、「ちとせ」は「ちとせあめ」はもちろん、縁起のいい言葉としてずっと使われていますよね。
北陸新幹線が延伸開業し、山代温泉の最寄駅である「加賀温泉駅」にも新幹線で行けるようになりました。
山代温泉がこれからも賑やかに、「ちとせ」続くよう、私も応援しております!
参考:日本国語大辞典、高岡市万葉歴史館HP
■結果速報■
https://yamashiro-spa.or.jp/2025/05/10/nihongo-contest-2025-results/
■今年のにほんごコンテストHP■
http://yamashiro-spa.or.jp/kotoba/